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記紀・万葉やまとうた「山田の澤に」 - 2017.02.27 Mon

スタッフの松田です。
2月も明日で終わりです。まだ冷たい空気の中に春の気配を感じながら、そろそろ雪解けを待ち望む地域の方もいらっしゃると思います。恋人を思い、沢でくわいを摘みに夢中になっていると、雪解けの水で着物の裾が濡れてしまったわと楽しむ、この時期にぴったりの乙女の歌です。

  「山田の澤に」〜CD「凮月同天」より〜
      作詞:万葉集 作曲:歌枕直美

     君がため 山田の沢に ゑぐ摘むと 雪消の水に 裳の裾濡れぬ
                          万葉集10-1839


山田の沢1

―試 聴―(クリックするとご試聴いただけます)

 

=対訳=
貴方のために、山裾の田の間を流れる澤に入って、一心にくわいを摘んでるうちに、雪解けの水で着物の裾が濡れてしまいました。

=歌枕より=
私の住む吹田市にも“山田”という地名があります。“吹田”“山田”“垂水”それだけでも、いかに水に恵まれている土地かがわかります。ちなみに、えぐ=くわいは、吹田の名産となっています。

歌枕直美CD「風月同天」のお申し込みは





記紀・万葉やまとうた「梅と宴」 - 2017.02.20 Mon

スタッフの松田です。
各地で梅の便りが聞こえてきています。
万葉の時代、梅の花は風流な花とこのまれていて“梅花の宴”などが開かれていました。
大伴家持のお父さんである大伴旅人とおばさんである坂上郎女が詠んだ梅の歌を、歌枕がひとつの曲に作りました。ロマンティックな男性と現実的な女性の歌を対比しています。

  「梅と宴」〜CD「みやびうた」より〜
      作詞:大伴旅人・坂上郎女 作曲:綱澤僚

   梅の花 夢に語らく みやびたる 花と我思ふ 酒に浮かべこそ
   酒杯に 梅の花浮け 思ふどち 飲みての後は 散りぬともよし
                        万葉集5-852、8-1656


梅 2

―試 聴―(クリックするとご試聴いただけます)

 

=対訳=
梅の花が夢に語ることには、風流な花だと私は思う、さあ酒に浮かべてほしいと。
酒盃に梅の花を浮かべて親しいものどうしが酒を飲んだ後は、散ってもかまいません。

=歌枕より=
“乾杯の時”に歌える曲にと作った曲です。別名「うめ〜酒」。茶論コンサートでの定番曲となりました。

歌枕直美CD「みやびうた」のお申し込みは





記紀・万葉やまとうた「紫の恋」 - 2017.02.13 Mon

スタッフの松田です。
万葉集の中で代表的な女流歌人額田王と大海人皇子(天武天皇)の相聞歌。
蒲生での薬狩りの時、偶然二人は再会します。今は兄 天智天皇の妻である元の妻 額田王に大海人皇子は手を振ります。この時代、手を振るということは、恋しい人の魂を引き寄せる求愛のしるしだったそうです。
「やまとうたコンサート」では大変人気曲で、歌枕の演出により会場の男性の皆様に手を振っていただくことから曲がはじまります。

  「紫の恋」〜CD「あさね髪」より〜
      作詞:額田王・大海人皇子 作曲:綱澤僚

   あかねさす 紫野行き 標野行き 野守は見ずや 君が袖振る
   紫の にほへる妹を 憎くあらば 人妻ゆゑに 我恋ひめやも          
                       万葉集 巻1-20,21


紫の恋額田1

紫の恋大海人1

―試 聴―(クリックすると試聴いただけます)


=対訳=
あかね色に染まる紫の草がはえている天皇のご領地を行き来しながらそんなことをなさって、野守が見ているではありませんか。あなたが袖をお振りになるのを。
紫のように美しいあなたが憎かったら、人妻と知りながら、私はどうしてあなたに恋こがれようか。

=歌枕より=
和歌劇で額田王を演じて、この歌を歌った時、額田の女性としての品性を体感しました。この歌にまつわる様々な節がありますが、私はそのような節より、歌から感じ取る人間像に興味があります。歌ってこそ感じられる世界もあるのだと知ることができました。

歌枕直美CD「あさね髪」のお申し込みは




記紀・万葉やまとうた「み吉野の恋」 - 2017.02.06 Mon

スタッフの松田です。
天武天皇(大海人皇子)は、兄である天智天皇が近江に都を遷していた時、皇位を狙っていると思われないようにするため、出家すると吉野に入ります。その後、天智天皇がなくなり、兄の息子である弘文天皇との皇位継承争いである壬申の乱で勝利するまで吉野で暮らしていました。この歌は、壬申の乱に関係する歌という説もありますが、自らの熱い心“雨が降っても、雪が降っても、毎日 恋人のところに通い続けます。”と歌っています。

  「み吉野の恋」〜CD「やまとうた」より〜
      作詞:大海人皇子 作曲:綱澤僚

   み吉野の 耳我嶺に 時なくそ 雪は降りけ 間なくそ 雨は降りける
   その雪の 時無きがごと その雨の 間無きが如く 
   隈もおらず 思いつつぞ来し その山道を

   かわづ鳴く 吉野の川の 滝の上の 馬酔木の花ぞ はしに置くなゆめ 
                      万葉集 巻1-25、10-1868


み吉野の恋1

―試 聴―(クリックするとご試聴いただけます)


=対訳=
み吉野の耳の形の山にはいつも雪が降っている 絶え間なく雨が降っている その雪の様に毎日 その雨の様に絶え間なく山道の曲がり角の様に数え切れないほど貴方のことを思いながら山道を通います。
カエルが鳴く吉野の川の 急流の上に咲いていた恋の花・馬酔木を取ってきました。どうか私の思いを察してください。

=歌枕より=
天武天皇のこんな恋の歌があるなんて。「私の思いに気づいて下さい。」とは、殺し文句です。メロディーがのると、俄然思いが伝わります。


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記紀・万葉やまとうた「明日香慕情」 - 2017.01.30 Mon

スタッフの松田です。
古の人は、“恋する”という言葉を、異性に限らず、古都・土地、植物、季節などに対しても思い慕うという意味で使われていました。「明日香慕情」では、明日香の宮から藤原京へ都が移った後、山部赤人が神が宿る神奈備山に守られた明日香の自然を讃美し、栄えた昔を思い偲んでおり、その気持ちが歌枕の歌により切に胸に迫ってきます。

  「明日香慕情」〜CD「明日香風」より〜
      作詞:山部赤人 作曲:綱澤僚

   みもろの 神なび山に 五百枝さし 繁に生ひたる
   栂の木の いや継ぎ継ぎに 玉葛 絶ゆることなく
   ありつつも やまず通はむ 明日香の 古き都は
   山高み 川とほしろし
   春の日は 山し見が欲し 秋の夜は 川しさやけし
   朝雲に 鶴は乱れ 夕霧に かはづは騒ぐ
   見るごとに 音のみし泣かゆ いにしへ思へば
   明日香川 川淀さらず 立つ霧の 思ひ過ぐべき
   恋にあらなくに
                       万葉集 巻3-324、325

明日香慕情1

明日香慕情2

―試 聴―(クリックするとご試聴いただけます)


=対訳=
神なび山にたくさんの枝萌え出て生い茂っている栂の木、その名のようにつぎつぎと絶えることなく、いつまでも訪ねてみたいと思う明日香の古い都は、山が高く川が雄大である。春の日は山の眺めがよく、秋の夜は川の音が澄みきっている。朝雲に鶴が飛び交い、夕霧に河鹿が盛んに鳴いている。ああ、みるたびごとにむせび泣けてくる。栄えた昔のことを思うと。
明日香川の淀みに立ちこめている霧がなかなか消えないように、われらの慕情は決して消え失せるようなものではない。

=歌枕より=
“恋にあらなくに”の強い表現が、胸に染み渡ります。そこまで都を思うことができますでしょうか。

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アーティスト歌枕直美のライブを中心とした様々な音楽活動を、コンサートスタッフがレポートいたします。

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