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5/21奈良・石上神宮奉納演奏&和歌劇「姫たちの伝言」天理公演レポート - 2011.05.23 Mon

村瀬 隆 レポート

和歌劇「姫たちの伝言」の奈良公演が天理市文化センターで行われる。
朝、8時半より、その下準備が始まった。
上演は昼の3時半、その前に、リハーサル、そして、石上神宮での奉納演奏が予定されている。
天理市にはいると、黒い法被を着た天理教の信者の姿が目につく、若い青年も天理教と
白く書かれた、法被を着て、歩いている。そして中には、拍子木を叩きながら、歩道を歩いている人もいる。
天理市文化センターは、天理市役所のすぐ横にあり、天理市役所から5分程度の距離に、天理教本部がある。不思議な町である。教祖の中山みきさんは、この町で生まれ、天理教という教えを開いたが、その信者が一気に拡大し、一つの町を形成する規模の発展を生み出した事例は、江戸時代後期に起こった、新興宗教としては日本では、特出した事例かも知れない。とにかく、天理教の巨大な建築物があちこちに建ち並び、いまさらながら、この町に来ると、天理教という組織の規模に驚かされる。

歌枕さんの和歌劇の公演につきあっていると、行く先々の土地や場所の歴史や風土を考えるきっかけや切り口になる事が多く、これはもう一つの楽しめる要素でもある。
わざわざ、足を運んで、その土地に行く、そこで、その土地の歴史や風土に触れ、実体験できるというのが、和歌劇のもう一つの重要な側面であるかも知れない。

さて、大阪から、大型のバンにびっしりと荷物を積み込みスタッフの荒木さんと松田さんがやってきた。この荷物のすべてが、今日の舞台の道具である。
そして、楽器を除く、ほとんどが手作りで、一つの舞台を形にするための、様々な創意工夫が、これらの小道具の一つ一つに込められている。

様々な条件の舞台に柔軟に適応できるように、融通性をもったこれらの道具が、現場でフルに能力を発揮してくれるのである。

この小さな道具から始まる、手作りの思想が、歌枕直美さんのコンサートには、一杯詰まっている。かつては、事前に収録した、シンセの音楽をバックグラウンドで鳴らして歌っていた安全性のある方法を、解体し、より臨場感のある音を探究するあまり、とうとう生演奏でやる事を決意した背景も、職人の感性にも似た、本質の追究、より高いレベルの音楽表現への挑戦の一つとも言えるかも知れない。

小さな道具から始まる手作り感へのこだわり、裏で見ているとそういう表現者のチャレンジ精神と言う物が垣間見えてくる。

スタッフの荒木さんも本業は調律師であり、生粋のピアノ職人である。ピアノの調律を極めるために、イタリアの本場で学び、百年も前の古いピアノの修復、再生、調律までこなす、日本でも数少ない、本物の調律師である。そんなスタッフが歌枕さんの裏舞台を支えているのである。
うたまくら社では、古い名器と言われるピアノの再生や調律、販売も行っている。何百年も前にヨーロッパでつくられた、名器といわれる楽器がうたまくら社には何台もある。その修復から、調律までを、自社で行っているのである。これも本物の音を追求する中で自ずから構築されてきたうたまくら社の一面であり、このような、高い技術陣によるバックボーンに支えられて、歌枕さんの音の総合力が生み出されている。

こうした技術力の結集が、大きな厚みや深みとなって、他者の追随できない独特の表現世界を構築しているとも言える。その意味で歌枕さんの本番は、すでにその準備段階の小さな積み重ねから始まっていると言えるかも知れない。

さて、舞台の組み立てが終わると、歌枕さんのリハーサルである。このリハーサルで、現場の音の反響や、楽器の音の調整、発声の音の反響など様々なチェックが行われる。
椅子の配置や、角度まで、様々な検討が行われ、修正が加えられる。
あっという間に、時が過ぎ、 石上神宮の奉納の時間が迫ってきた。

石上神宮は、フツノミタマノオオカミ(布都御魂大神)を祭る神社だそうで、布都の御霊とは神剣の霊との事である。神武天皇の時代から祭られていた霊だそうで、後に石上神宮
石上大神として、軍事、警察を担ってきた、物部氏の氏神として祭られてきた経緯のある由緒ある神社だそうだ。どうやら物部氏の時代には、武器庫としての役割も果たしていたらしい。霊験あらたかな神宮として、古くから人々の信仰を集めてきた神社とのことである。かつては、禁足地というものがあり、そこには、神剣が埋納されていたそうだ。

さて、その由緒ある神宮で、午後1時より、奉納演奏が始まる。12時半頃から、参列者が続々集まり、50人近い関係者と応援する会会員の方が神宮拝殿の神前に並んだ。

神主のお祓い、祝詞の奏上、歌枕さんの玉櫛奉天が取り行われた。

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いよいよ歌枕さんの奉納演奏である。曲は新曲CD「言の葉」から3曲、「スサノヲ」「影媛」「潮薫る国へ」が選ばれた。
神殿に歌枕さんの歌声が静かに響き渡る。
その姿は、神に歌を奏上する巫女の姿のようにも見えた。歌と歌枕さんが見事に神殿と一体化し、厳かに粛々と歌が奏上され、奉納演奏は無事終了した。

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神殿から外に出ると、太陽がまぶしい。
参列者を残して、ふたたび歌枕さんは文化センターに戻り、最終的な舞台のチェックを行う。

午後3時半、「姫たちの伝言」の上演が始まった。
和歌劇の中で歌い語られる、6つの物語は、観客の人それぞれの印象で受け取られたことだろう。
私の好みでは、「女鳥王とハヤブサワケ」の物語が強い印象に残った。
とくに終盤の女鳥王とハヤブサワケが、崖を登りながら、歌う歌は極めて美しい。メロディーも切々と心に響いてくる、名曲である。
悲劇ではあるが、このような敗者の歌が歴史に残っているというのも、日本文化の奥深さと言えるかも知れない。
今回は、大阪を初めとする関西一円から、大勢の観客の皆さんが集まって下さった。
今年の、春の和歌劇は、また新しい挑戦を加えながら、さい先の良い出発となった。
おそらく、今年はまた、一段と歌枕さんの飛翔の年となるだろう。
そんな予兆に満ちた一日だった。

石上神社の神前で奉納された、新曲「言の葉」は、6月1日、全国販売されます。
福原真衣子という、新しい感性の作曲家を加えた、ニューアルバム、是非お聞きのがしなく。



歌枕直美 ニューアルバム
~歌い伝える日本の心の物語~「言の葉
 

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歌枕直美CDのお申し込みはこちらより







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アーティスト歌枕直美のライブを中心とした様々な音楽活動を、コンサートスタッフがレポートいたします。

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